あの日失くした星空に、君を映して。
「遅いぞー」
頂上についた時にはすでに深影がラケットを取り出して素振りをしていた。
246段あるって意識するとけっこうキツかったのに…深影は全然平気そう。
階段の下を見ると2人とも真ん中の辺りをゆっくりと上っている。
私はこの数日間でちょっとは慣れたおかげかな…もうだいぶ息が整ってきた。
「ほい、パス」
ラケットの持ち手の部分を差し出されて、ソッと受け取る。
バドミントンなんていつぶりだろう。
使い込まれた感じのあるラケットはズシリと重い気がした。
「あーーー!疲れた!」
その時、ちょうど階段を上りおえた2人がこっちに来る。
「よしっ!揃ったな!」
「揃ったな!じゃないわ!ちょっと休ませて…」
「なんだお前ら、体力老人並みやんか」
「うっさい馬鹿」
言い返しながらもゼェゼェと息が苦しそうな風香。
飲み物を持ってくるべきだったかな…
「しゃーねぇーな。何かもらってくるけん待っとけ」
「深影?」
様子を見ていた深影がラケットを置いて草原の奥に走っていく。
あれ……なんだろう。
小さい小屋みたいなのがある。
「ね、風香、あれなに?」
「ん?あーあれな…マツじいの家」
マツじい…って誰?
「ここって私有地なんよ。出入りは自由なんやけど、たまーにゴミとか捨てに来るやつがおるけん、マツじいが監視しとんの」
か、監視…?
ってことはもしかして私が毎日ここに来ていたのも見られてた…とか。
「まあ、四六時中見張っとるわけやないけん気にせんでいいよ」