ごめんね、ありがとう
ハァハァ。
かなり走った。
一度だけ送った時の家の道順を
記憶からほじくり返す。
「───~~」
ん?夏音の声。
細い路地から聞こえてくる。
「夏音。」
やっぱり。
夏音は不良に絡まれてる様子。
「かなたっ。」
こんな時でさえ、名前を呼ばれたことに
にやけてしまう。
って、そんな場合じゃねぇよな。
「俺の女に手出すんじゃねぇよ。まじ。
ふざけんな。」
そう言うと、不良はグチグチ言いながら
どっかに走って逃げていった。