咲かない花
もしかしてという予想はしてたけど、実際言われると・・・やっぱり驚く。
無言の私に、二宮くんは畳みかけるように「もしもし!」と言ってきた。

「あぁはいっ!」
「・・・好きです。マジで」
「二宮くん。私・・・」
「まだ」
「・・・はい?」
「茉莉さん、別れてまだそんなに時間経ってないから、次のことは考えられないと思うんで、今ここで返事しなくていい。でも俺は本気で茉莉さんとつき合いたいと思ってる」
「二宮くん・・・」
「だから茉莉さんも俺とつき合うこと、考えて」
「ちょっと待って」
「待たない。たった今から俺のことを、恋愛対象として見てください」

「じゃあ、おやすみなさい」と言われて切れたスマホを見ること数秒。
私もスマホを切ったとき、なぜか泣きそうになっていた。

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