漆黒の闇に、偽りの華を
「何よっ。さっきからうるさい小娘ねっ!」
「せっ聖也って!聖也って!"聖蘭"の総長の!?」
「だから、その名前呼ぶんじゃないわよっ!!聖ちゃんって呼びなさい聖ちゃんって!!!あんたウチのメンバーだったらぶっ飛ばしてるわよ!!」
「えっ?で、でも、聖也って……あれ?女の人??あれ?」
あたしは、パニックになっている頭を必死に両手で押さえる。
一体何がどうなってるんだ!?!?
「茉弘。一応言っておくけど、聖也は"男"ですよ。」
……え?
「お、男っっ!!??」
「だから言ったの。あんたの勘違いだって。」
百合さんは、恭のスマホのディスプレイを見せる。
そこには、通話履歴 "遠藤 聖也"と表示されている。
完全にあたしの早とちり。
でも、こんな声までちゃんと女の人みたいな男の人……いるか!?
勘違いしない方がおかしいって!