漆黒の闇に、偽りの華を

「聖ちゃんの情報の報酬はね、男とのスキンシップなの。それで、いつも餌食になるのはソレ。」


百合さんは、まだ青くなって固まっている太一を指さす。


「だって、たいちゃんかわいいんだもーん♪あたしの好みなの♪百合には悪いけどねっ。」


聖也さんは、太一に抱きつく。


「はっ、離れろっ!!俺にその趣味はねぇっ!!!」


「あーいいよいいよ。全然悪くない。むしろ好きにしてやって。」


「百合ぃぃっ!!!!!」



なるほど。


だから太一は、こんなに怯えてるのね。


恭の事をちらりと見る。


聖也さんが男の人で心底良かったと思う。


やだな。

あたし、凄くほっとしてる。



恭と目が合う。



「誤解、解けましたか?」


恭は優しく微笑む。


「あ。うっ、うん。なんかっ、す、すみませんでした。」


あたしは、恭を掴んでいた手を慌てて離す。


「良かったです。茉弘には、誤解されたくなかったから。」


「…………。」



深い意味は、無いんだよね?


分かってるのに、あたしの体は火照り出す。


お願いだから、そういう思わせ振りな事、言わないでよ。




「……あんた達さ、付き合ってんの?」


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