漆黒の闇に、偽りの華を



「忠告ってのは、あんた達の事よ。」


聖也さんは、足を組んでテーブルの椅子に座る。

そして、あたし達を指差して言う。


「この間不良グループとの抗争の時、百合とこの小娘が巻き込まれたらしいじゃないの。」


「あ、あれは!あたしが勝手に恭達に付いて言ったから……」


「お黙り。
あたしは、その経緯なんてどうでもいいのよ。
問題は、助けた時の恭の言動。」


「……え?」


恭の言動?


あの時の事を振り返る。




あたしに振り下ろされたナイフ。


それを受け止めてくれた恭。


その後、リーダーの男と百合さんを襲った男に詰め寄り……



『誰のもんに手ぇ出してんの?』



……あ。


思い出したその言葉に、急激に顔が火照り出す。


いやいや!


あんなの言葉の綾だから!

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