派遣彼氏
「だから、俺の、」


私はなぜ素直に、いない、と言えなかったんだろう。


「わ、私にも恋人だっていますから!」


「…そうだったのか、それは悪かった」


一瞬、間を開けた青野部長はバツの悪そうな表情を浮かべて、すぐに営業スマイルにシフトチェンジする。なんだか私も気まずくなって弁当を半分残し、バッグにしまう。


「なら今度紹介してくれ」


「え?む、無理ですよ!恥ずかしいじゃないですか」


「キャリアウーマンの君にも、そういう一面があることに非常に驚く。仕事が恋人でも言うかと思ったんだが」
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