ファインダー越しの恋
…ん?どこかで聞いた事ある声のような気がした。

振り返ろうと思ったが、先に時計が目に入り、時間を見て驚きまた作業を進める。

よそ事を気にしてる場合じゃない。
仕事に没頭していたせいで、暗くなっている事にも気づかなかった。

そんな時、突然部屋の電気が点けられた。
先程、ペンを貸した男の人が点けてくれたようだ。

私はそれをありがたく思いながら、また仕事に取り掛かる。

「…ぁ、雨」

静かな資料室にいるため、雨音がよくわかった。しかも、その雨音は、大きかった。

外は、土砂降りみたいだ。…帰るころには、止んでくれるかな?

そんな事を思っていると、ピカッと外が光った。その後、物凄い雷の音。

「キャ⁈」
雷嫌いの私は、両耳を押さえ、その場にしゃがみ込んだ。

「…どうした⁈」
誰かが私に近づいてきた。

…雷のせいか、部屋の中は真っ暗で、ガツンと何か物音がした次の瞬間、腕を引っ張られ、誰かの胸の中に、スッポリおさまった。

…この香水どこかで。
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