猫の恩返し
まるで不夜城だな───


自分もあの中で、毎日明かりを灯し続けているのだと思うと、たまにはこうやって何もない暗闇に体を委ねるのも、悪くはないと思った

この公園には防犯灯はほとんどなく、市内を見渡せる切り立った丘に沿うような形で張り巡らされている丸太の柵の足元に、ライトが埋め込まれている


「あ…、おいっ」


柵を跨ぎ、芝生の中へ踏み込むナツ

その先には急斜面


「危ないから、そっちに行くなって」


「ね、トーゴ。ここって、空に一番近い?」


「は?」


「琴美さんにね、聞いたの…。皆、死んだら星になるんだって。星になって大事な人を見守ってるだって…。お母さんやお姉ちゃん達も、私のこと…見守ってくれてるよね?」


空を仰ぎ見るナツにつられ、顔を上げた

先ほどと対して変わらないのかもしれないが、目が暗さに慣れてきた分見える星の数が増えたように思う

星座の名前なんて知らないし、どれがどの星座かも分からない

それでも、金色や赤色に光る星を見ていると子供の頃に返ったような…そんな気分になった
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