猫の恩返し
「………」


「もう…帰ってくるのは、嫌か?」


俺の言葉に、黙って頭を左右に振るナツ


「どうしたら帰ってきてくれる?」


「一緒に寝たい。一人で寝るのは寂しいよ…」


「分かった」


「昨日も、溝口さんに声を掛けてもらえるまで、ずっと寂しかっ───ふっ…」


みるみるうちに涙を溜め、目尻から次々とこぼれ落ちる


「じゃあ、何で帰ってこなかったんだよ」


「………前に…。前に住んでたところに来れば───、何か言葉じゃちゃんと説明できないけど、とにかく前に住んでたところに戻りたかったの」


それが理由で、こっちに戻ってきたのか…


世の中、色んな人間が居る

何事もなくてよかったと、心の底からそう思った
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