猫の恩返し
☆最初で最後☆
「うわぁー!すごいすごい!ねぇートーゴ、湯気がすごぉーい!」


きゃあきゃあ叫ぶ先には、庭に付いてる露天風呂

雪深い土地…さすがに本場というか、積雪量が半端ない

数奇屋造りの建物は客間も少なく、趣があって落ち着いている


「可愛らしい彼女さんですね」


女将さんがナツを見て、クスクスと笑った


「騒がしくてすみません」


「いーえ、構いませんよ。今日は平日ですから、他にお客様もほとんどいらっしゃいませんし、部屋が離れてるので、多少騒いでも気にはならないと思います」


彼女…

やっぱり、傍目(はため)にはそう見えるのか


「御用があれば、お申し付け下さい。失礼致しました」


そう言って出ていくのを、頭を下げて見送る
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