猫の恩返し
「お前な…」


唇を離して、お互い肩で息をする


「キスってすごく苦しいね」


「………」


「どうやったら、皆みたいに普通に出来るんだろ…」


皆?!

何言ってんの、こいつ!


「『皆』って…誰だよ…」


「え?テレビのドラマ?…だっけ」


テレビの知識かよ…


内心ホッとする俺が居た

オレンジ色の灯りの中で、眉を寄せてブツブツ呟くナツ


「ナツ」


「ん?」


灯りで輝いて見える唇にキスをする

静かな部屋にリップ音が響いた

瞼を上げると、ナツは目を見開き固まっている


「何て顔してんだよ」


「………」


「もうしねーから、そんなに驚いた顔すんなって」


いたたまれなくなって体の向きを変えようとすると、ナツに浴衣を掴まれた
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