猫の恩返し
しばらくして、コンビニの前に座り込むナツの姿を発見する

影で気付いたのか、声を掛ける前に顔を上げた


「帰るぞ」


声を掛けると、頬を膨らませたままプイと顔を逸らす


「何、むくれてんだよ」


「トーゴ、嫌い」


「………はいはい、嫌いで結構」


溜息を吐き、適当に返事

それが癪に触ったのか、ますます意固地になるナツ


「帰らないもん!」


店に入る客、出てくる客

皆が俺達に視線を投げかけてくる


「ふーん…。あ、そ。また野良にでも戻る気か?」


その言葉はよほど応えたのか、泣きそうな顔で俺を見上げた


「………ダ」


「あ?」


「それだけは………ヤダ…」


今にも泣き出しそうだ


「んじゃ…帰るぞ」


手を差し出すと素直に握り返してくる

引っ張り上げると、腰にしがみついて来た


「何だよ…」


「………帰ってあげる」


「ぶっ」


今度はツンデレかよ


「何?」


「何でもねーよ」


ま、コイツはコイツでいっか
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