猫の恩返し
「ほら、行こうよ」


俺の腕に自分の手を絡ませ、グイグイと引っ張り歩き出した


「ちょ…、分かったって。行くから引っ張んな」


「えへへーっ」


引っ張ることを辞め、俺の腕にしがみ付く

傍(はた)から見たら、普通のカップルにでも見えるんだろうか


「あ………」


「どーしたの?」


ビーチサンダルとかタオルとか…何一つ持って来てねーし


ただ『海に行きたい』というナツの言葉を鵜呑みにして何も考えずに海に来たけど、よく考えたら、この炎天下の中でただボーッと海を眺めてるなんて、地獄そのものだ

砂浜をぐるりと見渡すと、少し離れたところに海の家がある

その周りではカラフルなビーチパラソルがあちこちに立ち、ビーチバレーに興じる人達も居れば、パラソルの中で寝そべる人達、日差しを浴びてキラキラと輝く海の中で楽しそうに泳ぐ人達…と、様々だ
< 97 / 215 >

この作品をシェア

pagetop