麗雪神話~炎の美青年~
(そうだわ。ブレイズさんの天幕のあたりも巡回していこう。ブレイズさんを狙ってくる輩が、いないとも限らないし)

セレイアは族長の天幕周辺へ足を向けた。

そしてもうすぐ族長の天幕というところで、不審者をみつけたのだった。

ひっそりと、気配を殺し、あたりをはばかりながら歩く人影。

顔半分には覆面をし、闇に溶け込む黒いマントを着込んでいる。

見るからに怪しいではないか。

セレイアも気配を殺し、怪しい人影を追ってみることにした。

人影はするすると闇の中を動き、町のはずれまで歩いて行った。

そこには同じように覆面をした者達が集まっており、人影が指示を出して、何か大きな箱のようなものを運びこんでいるようだった。

(あれは何? あやしすぎるわ…)

そう思った時、不意に強い夜風が吹き、人影の覆面がふわりと風に舞った。

(………!!!)

驚いた、なんてものではない。

覆面の下の顔はなんと―――
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