麗雪神話~炎の美青年~
しかしこの儀式の大変なところは、みつけてから始まるようなものだ。

野生のプミールは気が荒い。大した道具もなく、どう手なずけるのか…。

彼らの奮闘を見守るうち、太陽がしだいに空高く昇り、再びさがっていく。

夕日に染まるころ、やっと一頭目のプミールが現れた。

ヴァイパのもとだ。

大輪の花の匂いに誘われたのだろう、そろそろとヴァイパのもとに近づいてくる。

しかしヴァイパが花をあげようと一歩近づくと、びくっと体を震わせて脱兎のごとく逃げてしまった。

「くそっ」

ヴァイパの悪態が聞こえる。

続いてアヴァ、ビッチィのもとにもプミールが現れた。しかしヴァイパの時と似たり寄ったりで、こちらが人間と見るや警戒し、駆け去ってしまった。

一方ブレイズも、やっとのことでプミールの巣をみつけたようだった。

「わぁ! かわいい!」

思わずブレイズが叫んだのが聞こえる。

なんと、巣では子供のプミールがすやすやと眠っていたのだ。セレイアも邪魔しないようそっとのぞきこんでみると、ふわふわの毛が寝息と共に上下し、かわいいことこの上ない。

と思った瞬間、

「キュー―――ッ!!」

森に激しい威嚇の声が響き渡り、大きな野生のプミールが現れた。

(まずいわ…多分お母さんプミールよね)

母プミールは駆けてくるとブレイズに突進し、子を守ろうと立ちはだかった。

近づけば噛みつかれるだろう。

ブレイズはそれ以上手出しできず、いったん巣から離れることとなった。

そして日が暮れた。

一日目の終了だ。
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