麗雪神話~炎の美青年~
カティリナの刃に力がこもり、ぐっと剣先をぶつけた人影は角度を変え、その横顔がセレイアの目に飛び込んできた。

「ブレイズ!? ブレイズが、二人―!?」

セレイアは驚きのあまりそう叫んだが、すぐに自分の言葉を頭の中で撤回した。

いや、ブレイズじゃない。

その横顔の雰囲気は確かにどことなくブレイズと似ているが、別人だ。

比べるべくもない。その横顔の造作は、寒気がするほどに整っていた。

人間離れしている―まるでディセルのように。

「何者だ!」

勢いをつけて刃を離したカティリナが、口調にわずかに焦りをにじませながら問うた。

美しい青年も間合いを取りながら、悠然と答える。

「俺の名はサラマス。
第二のブレイズ、なんて名乗っていたこともあるがな?」

「やっぱり…第二のブレイズね!?」

まさかとは思ったのだ。その声、口調に、とても聞き覚えがあったことと、その美しさが持つ圧倒的な気配のようなものが、似ていたから。

(サラマス…サラマス。どこかで聞き覚えが)
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