麗雪神話~炎の美青年~
「セレイア!! 大丈夫!?
えっ……ぶ、ブレイズさん!? セレイアに何してるんだ!!」

駆け寄ってきたのはディセルだった。

服はあちこち破れ、汚れている。一人であの大岩と格闘したのだろう。

顔を真っ赤にして悲鳴のような声をあげた彼は、どうやら何か勘違いしてしまったようだ。

「こんの…セレイアを放せ!!」

全力でブレイズにつかみかかったディセルに、ブレイズは抵抗しなかった。

「はいはい、放しましたよ。服もなおったな。まったく、お嬢ちゃんが関わると性格変わるな、お前」

「……? ブレイズさん…?」

ディセルもブレイズの口調の変化に気づいたのだろう。

いぶかしげにみつめる。

セレイアは事情を説明しようと思ったが、ショックが抜けきらず、声が出なかった。

それを察したのか、ブレイズがにやりと笑って自己紹介をした。

「言っとくが俺はさっきまでのブレイズじゃない。第二のブレイズだから、そこんとこよろしく。はあ~あいつこんなところまで呼び出しやがって、かったるいったら」

「お前…酒場で会ったあの男…? 第二のブレイズって、どういうことだ…?」

ディセルが不審そうな目でブレイズを見ている。

セレイアは今のせりふがひっかかった。

“あいつ”…?

あいつとは、話の流れから察するに吟遊詩人のことではないだろうか。

第二のブレイズと吟遊詩人は、知り合いなのか?
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