ワタシの愛しの剣士様⭐
「………料理は、まだ修行中だ」
「修行………ぷっ!」
修行って、大袈裟な!!要は苦手って事ね。
「わ、笑うな……」
恥ずかしそうに私を睨むまーくんに、私は笑いながら「ごめん」と謝る。
「可愛いよね、本当に」
「男に可愛いなど…屈辱だ」
心底嫌そうに眉を歪めるまーくんに、私はまた笑う。
そのいじける姿が可愛いんだよ、なんて、怒るからもう言わない。でも、本当に可愛いんだ、これが。
「なら、守ってもらう間はこれで恩返しさせてよ」
しばらくは、夜の仕事も休んだ方がいいだろうし。待ち伏せとかされたら、誘拐されかねないしね。
「るな殿が負担だろ、客人を働かせられない」
客人………(笑)ところどころ高校生らしからぬ発言に笑いそうになる。私は笑いを堪えて、まーくんに軽く頭を下げた。
「お願い、されっぱなしは性に合わないの」
「だが………」
渋るまーくんに、千春ちゃんと千夏くんがまーくんの腕に抱きつく。
「お兄!千春、るなのご飯が食べたい!」
「千夏もるなのご飯がいいー!」
あまりにも必死にお願いする二人に私は嬉しくなった。
そこまで言ってくれるなら、なおさら……
「じゃあ、千春ちゃんと千夏くんにお手伝いしてもらうから、それでいい?」
「るな殿………あなたって人は、変わってるな」
まーくんは困ったように笑った。
「そんな風に言われたら、断れない。どこまでも優しいのだな、るな殿は…。また、恩返しを考えなくては」
「ふふっ、じゃあ、私達、一生恩返しの繰り返しになっちゃうじゃない。これは、私のやりたい事だから、いいのに」
終わりが、見えなくなっちゃう。でも、こうしてたら、私達の繋がりは途切れないのかな。