……っぽい。
 
「……わ、私も好き………………っぽい!」


半ば叫ぶように言うと、すぐに笠松に背中を向け、恥ずかしさに悶絶しながら丸くなる。

仮にも、ついさっき2度も過呼吸を起こした人になんてことを言わせるのだ笠松準之助……。

策士だ!とんでもなく策士だ!


「ははっ、ぽいって何ですか、ぽいって!」

「うるさいっ!もう寝るっ!」

「はあ、でもよかったぁ、先輩も俺のことを好きになってくれて。過呼吸のことは、これからじっくり2人で考えましょう。それより、今夜は愛の言葉だけで先輩をイかせるんでしたよね、まず何から言って欲しいですか?」

「それ冗談じゃなかったのー!?」


思わず笠松のほうに体を向けると、艶っぽくにっこりと微笑まれて、私の頬は逆に引きつってしまった。

なんかもう、笠松色々すごい……。





こうして、てんやわんやの夜は更けていったわけだけれど、一つ言えるのは、あの戦慄の光景を目にして笠松に助けてもらった夜から今までの夜の中で一番よく眠れたということ。

笠松の元カノさんのことや、あの人--真人のこと、過呼吸のこと、まだまだ課題は山積みだけれど、笠松と2人なら、きっと大丈夫。

そう思わせてくれる力が、目の前の華奢なMサイズには確かにあったのだった。
 
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