……っぽい。
 
ほかの生き物たちはもう大方見学し終わり、最後にクラゲをぼーっと眺めていただけだったので、水族館を逃げるように後にすると、私たちは春に入りそびれたお粥専門店『薬膳粥工房』に場所を移し、とりあえず食事にした。

笠松--いや準ちゃん……猛烈に恥ずかしいから笠松に戻す!の前には、五穀粥のセット。

私の前には薬膳粥のセットが運ばれ、あっつあっつと食べているうちに、梅雨の時期独特の湿っぽくて重ダルい体に元気がチャージされた。


「それで、話を戻すけど、7月いっぱいまで架空出張となると、カレンダー的にもけっこう時間がない感じがするよね。新しい部屋の下見とかもまだなんだけど、間に合うかな」

「何言ってんですか、間に合わせるんですよ。全部事が終わったらアイツに連絡つけてギャフンと言わせる手筈じゃないですか」


笠松は熱いほうじ茶を啜りながら、私は笠松の分のデザートの杏仁豆腐にパクつきながら、水族館での話の続きを再開する。

確かに。

あれから笠松と色々話し合った結果、きっちりケリをつけるにはその方法が一番ベストなのではないかという結論に達している。

でも。


「ね、でも、えっちできたよね?」
 

< 138 / 349 >

この作品をシェア

pagetop