……っぽい。
 
にっこり笑って言うと、瀧川さんの目にうっすらとしたら水分の膜が張ったような。

そんな気がした。

私はそれに気づかないふりをして、もう一度にっこり笑うと、立ち上がりつつ「アルコール大丈夫ですか?」と彼女に尋ねる。

すぐに意味を理解したらしい瀧川さんは、けれど「ノンアルなら」とどこか恥ずかしそうだ。

まあ飲むにはちょっと早い時間だからなあ、私も風邪だから飲めないし、と思っていると--。


「……酒癖、めっちゃ最悪なんです」


ぽつり。

可愛らしく口をすぼませ、若干拗ねたような口振りでゴニョゴニョと、あるいは何を言わせるのと少し怒っているようにカミングアウト。

こんなに可愛い人がどんな酒癖を秘蔵しているのか、気にならないはずもなかったけれど、飲みたい気分じゃない人に無理やり飲ませるなんていう真似をするほど、私もバカじゃない。


「ちょうどありますよ。少し前、ノンアルビールに付けるノベルティの関係で飲料メーカーの方から貰ったのがあるんです!」

「ごめんなさい、ワガママばかり言って……」

「いいんですよ、2人ともアルコールが入っていないと飲んだ気しないし。貰ったの、350缶の6本パックが1つだけなんですけどね」

「あはっ、意外とケチだ」

「そう!ケチのハゲオヤジでした」
 
< 215 / 349 >

この作品をシェア

pagetop