……っぽい。
どれくらいの間、見つめ合ったままだっただろう、瀧川さんは何かを言おうと何度も口を開いたけれど、それらは声になる前に彼女自身が苦しそうに飲み下してしまって。
私も私で、引き止めすぎて逆に「今すぐ帰ります」と言われやしないかとヒヤヒヤだった。
時間にして、おそらく1分程度。
けれど私たちにはその何十倍もの時間が流れているような感覚の中、やがて一度目を伏せ、ゆっくりと息を吐き出した瀧川さんは、私の目を真っ直ぐに見つめ、こう言った。
「……じゃあ、お言葉に甘えて」
何かを覚悟した目というのは、一点の濁りもなく澄んでいて、それでいて強い光が宿るのだということを、瀧川さんの目を見て知った。
ああ、この人、本気だ……。
ゴクリと唾を飲み込み、意識してヘラッと笑う。
「よかったぁ、強引に引き止めすぎて嫌われたらどうしようかと思ってました」
「そんな!橘さんを嫌うなんて、まさか。天地がひっくり返ってもあり得ませんよ」
瀧川さんのほうも表情を緩め、首を振る。
「嫌われるんだとしたら、突然押し掛けてきた私のほうですよ。実を言うと、ここに来たの、本当に突発的な衝動だったんです。雨に打たれた姿で訪ねていったら、笠松君、部屋に上げてくれるんじゃないかって思って……」
「笠松なら間違いなく上げますよ」