……っぽい。
◆5◆

海月は何も分かってない!

 



翌月曜、昼休み。

昨日決めた通り、託児所内の休憩スペースにてしほりに話を聞いてもらっていた私は、一通り話し終わると、持参してきたマイボトルのお茶に一口口をつけ、目の前の彼女に縋った。


「プロポーズされると、みんな不安になるものなのかな。なんていうかこう……自分の身の程をわきまえてない気がして、笠松に申し訳なくてさ。アイツ、正気なんだろうかね?」


簡潔に言うと、こんな感じでまとまる。

笠松の気持ちは嬉しかったし、私自身もその気持ちに早く応えたいと思っている。

ほかの人が私たちを見て姉弟だと思っても、笠松が言った通り、歳を取れば4歳差なんて関係なくなるし、いちいち真に受け、そのたびに落ち込むほうがバカらしいくらいだ。


それでも、私の年齢が29歳だから笠松のほうが結婚を焦っているように見えてしまうのは、いい恋をしてこなかった私の被害妄想だろうか。

もし仮に野球チームが組めるくらいの子供を笠松との間にこさえるならば、毎年産んでも軽く10年はかかるわけで、スケジュール的にも年齢的にもなかなか大変な大仕事である。

と。


「へぇ。海月って、こういうところで意外とネガティブなんだ。でも残念。私から答えてあげられることは何もないよ。だって海月、相談する相手を完全に間違えてるもん」

「え?」
 
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