……っぽい。
 
にっこり笑って、しほりが力強く言う。

そうだ、しほりのところは姉さん女房だった。


生まれ年は同じだけれど、しほりが1月生まれで、誠治さんが4月生まれ、たった3ヶ月差だけれど学年的にはしほりのほうが一つ上で、だから2人とも丸々1歳、歳の差があるような感覚で普段の生活をしているらしい。

実際、社会に出るのもしほりのほうが1年早かったわけだし、後輩にあたる誠治さんは、そのせいもあり、しほりに結婚を申し込むとき、そりゃあもう、どえらく緊張したそうだ。

その後、年下の男の子から想われる幸せをたくさん貰ったしほりは、その一途な想いに今のような結婚と出産という形でしっかり応えている。


「……しほりも、誠治さんからプロポーズされたとき、不安になった? 自分が誠治さんを縛っちゃうんじゃないかとか、ステップアップできるチャンスを潰しちゃうんじゃないかとか、そんなふうなこと、思ったりした?」


拓人くんに離乳食を食べさせてからおっぱいを吸わせているしほりは、今からがお昼ご飯の本番で、例のごとく器用に片手でお弁当を食べ、もう片方の腕で拓人くんをあやしている。

そんなしほりを毎度のことながら感心して眺め、私もお弁当の残りをつつきつつ尋ねてみた。
 
< 262 / 349 >

この作品をシェア

pagetop