……っぽい。
 
しほり自身の気持ちのことだし、これくらいなら聞いても構わないだろうと思ったのだ。

が。


「だからぁ、それも全部打ち明ける!いくら海月にだって言えないことの一つや二つ、これでも持ってるんだから!頼るな、バカ!」

「しひょふぃ、いふぁい……」


おもむろに箸を置いたしほりに思いっきり鼻をつままれ、私は痛みで涙ぐみつつ情けない声を出し、その荒々しいエールを受け取る。

これだからしほり嬢は、頼もしくて可愛くて最強の同期で親友だ、ちくしょうめ!


「ほんでも、海月がそこまで不安になるってことは、よっぽど笠松君のことが好きなんだね。大事に思っているからこそ心の内に溜め込んじゃうってこと、あるある。分かるわぁ」


痛みなのか、エールが嬉しくて涙ぐんでいるのか分からなくなりながら鼻を押さえていると、再びお弁当を食べ始めたしほりが、私の成長具合を慈しむような目で見て、うんうん頷く。

しかし、そこで「でも、」と続けたしほりは、すっと真顔になり、正面から私の目を見る。


「今までの恋みたいに、嫌われるんじゃないかとか、面倒だと思われるんじゃないかとか、そういう後ろ向きな気持ちでいたら絶対にダメだからね。分かってると思うけど、同じことの繰り返しよ? ……大丈夫、笠松君なら。全部受け止めるに決まってる。海月はもっと、笠松君に愛されている自分に自信を持ちなさい!」
 
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