……っぽい。
しかし、結婚した。
男の子も産んだ。
そして、仕事に復帰してくる。
なぜ? なぜ? なぜ?
どうして同い年で同じようなラブコメ体質のしほりが先に女の幸せを手に入れられ、私はどん底でもがいているのだろう。
くっそう、素直に嫉妬してやりたい。
「ね、笠松。しほりのコレさ、どこに保管したらいいと思う? ていうか、どうやって捨てたらいいんだろうね? 分かる?」
しほりのものだということは説明済みだ。
私の背中のほうで、今日も部屋の片付けにつき合ってくれるために半袖ポロシャツとジーンズに着替えていた笠松を振り返り、問う。
ずっと捨てるに捨てられずに困っていたのよ、笠松なら捨て方が分かるかもしれない。
男だし。
「先輩はまたそうやって……。どうして恥じらいもなく素手で持てるんですか。信じられませんよ。それに捨て方も知りません」
「笠松も知らないのか。にしても、まったく困ったもんだよねぇ、しほり嬢は。私が言うのもあれなんだけど、よく結婚も出産もできたと思うよ。旦那さんの愛、すごいんだろうね」
「ソレ持ったまま、けっこういいこと言っても、全然説得力がないですけどね」
「だよねー」