……っぽい。
 
あははーと笑って、とりあえず手近な段ボールに入れて蓋を閉じガムテープで封をする。

私にそういう趣味はない。

早くしほりのところへ帰りなね。


「先輩も着替えてくださいよ」

「ああ、うん」


しほりが復帰したら、挨拶がてらにこの段ボールごと返しに行くしかないか。

すっかり準備万端の笠松に急かせれ、慌てて着る服を選びながら、そう算段をつける。

出産で一時離脱したけれど、彼女はずっと『鶴亀課』で鶴亀堂の歴史を世に広めるべく布教活動をしている教祖様の一人である。

それに、久しぶりに鶴亀課の面々に会ってみるのも面白いかもしれない。





「そういや、朝言ってたしほりさんって、そろそろ産休明けるんですね。しほりさんになら話しても大丈夫ですよ、同居のこと。彼女といろいろ話をしたら、先輩もいろいろと刺激を受けてくれるのかもしれないですし」

「ふーん?」


がらんとし始めてきた、私の部屋。

お昼ご飯の時間になり、部屋の近くのコンビニでお弁当と飲み物を買い、直に床に座ってそれを広げていると、唐突に笠松が言った。

刺激……? と言われた意味を理解しあぐね、首を傾げていると、笠松は幕の内弁当の焼き鮭の小骨を丁寧に取りつつ、こう言う。
 
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