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第十三章
「えっ。それらしい術者が見つかったんですって?」

 次の日の朝餉の席で、お嬢さんが身を乗り出した。

「ああ。でもあんたらは引き続き他を当たってくんな。とりあえずは俺が行ってみる」

 今日は早速滝のほうへ行ってみるつもりだ。
 だが昨日の様子からして、まだまだ山の上のほうのようだし、結構な時間がかかるだろう。

 いつも一旦昼に帰って、政吉ら二人と状況を話し合ってきたので、一日帰らないと心配するだろう。
 ということで、事前に話しておいたのだが。

「何でさ。見つかったんなら、他なんていいんじゃない? 一緒に行くよ」

 ずいずい、とお嬢さんが迫る。
 貫七は息を付き、箸を置いた。

「本物かどうか、まだわからねぇ。危険かもだし、場所も別にはっきりしたわけじゃねぇんだ。ただでさえ相当な山登りになんのに、お嬢さんにゃキツいだろ」

「そ、そんなことは……」

 意地でも一緒に行こうとしていたお嬢さんだが、不意に口を噤んだ。
 貫七が、真っ直ぐに見ている。
 その顔に、特に笑みはないが、真剣な表情だ。

---し、心配してくれてるんだ---

 そう解釈し、赤くなってお嬢さんは下を向いた。
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