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「お主がそう言っても、そうするとこの子が悲しむじゃろ。どーもわしは、小さいモノに弱い」

 言いつつ、ぐりぐりとおりんの頭を撫でる。

「それに、わしはお主を気に入った、と言ったであろ」

 え、と貫七とおりんが、同時に小薄を見た。
 それににやりと笑い、小薄は木の葉に向かって、何か命じた。

 ちょっと何かを企んでいそうな笑みだったが、少し見えた光に、その僅かな疑いも隅に追いやる。
 程なく木の葉が、何やら大きな銀の水盆を持ってきた。

「とにかく、先にこの子の身体がどうなっているのか確かめるべきじゃろ」

 水盆の上で、小薄は扇を数回振った。
 ぼんやりと何かが映りだす。

 貫七の膝に乗って水盆を覗き込んでいたおりんが、はっとしたように顔を上げた。
 正面の小薄を見る。
 ん、とおりんを見、小薄は少し首を傾げた。

「……ん~、やっぱりか? ……多分大丈夫。身体を維持するためには、相当な結界を張っておるじゃろうし、太郎坊がそこまでやった結界の中は、そうそう見えん」

「見えねぇんですか?」

 貫七が不満顔になる。

「折角おりんの今の姿を見られると思ったのによ」

「焦らぬことじゃ。生体反応を見る。影ぐらいは確認出来るやもしれんが」
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