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第十六章
『あ、あのぅ。それで、報酬のほうは……』

 貫七が木の葉と一旦堂から出て、お札を飛ばしている間に、おりんはおずおずと聞いた。
 木の葉にも『ただではやらない』と言われている。
 何らかの報酬は必要だろう。

「ん? うーん、そうだのぅ。……ふふふ、まぁ良いではないか。心配せんでも、命までは取ったりせんよ。出来ることで返して貰うから安心おし」

 少しほっとしたおりんだが、安心しろと言われても、すっかり安心は出来ない。
 何か企んでいそうな雰囲気が、ぴりぴりと伝わる。

 だがもう方法はないのだ。
 仕方ない、と腹を括り、顔を上げたおりんは、あ、と大事なことを思い出した。

『貫七ー。お嬢さんのこと、どうすんのさ』

「お嬢さん?」

『あいつを女にするとか言ってたじゃん。それで話が決まったんじゃなかったっけ』

「ああ、そういえば」

 元々お嬢さんのことなど、どうでもいいのだ。
 すっかり忘れていた。

「そういえばあんたら、おいらを性別を変える術者と思ってたね。何、魂を戻して、性別も変えたいの?」

 欲張り過ぎ~、と木の葉が冷たい目を向ける。

「違うよ。性別云々は、それぐらい出来るんだったら、魂を扱えるぐらいの術者なんじゃねぇかっていう目安さね。いやね、そういう案件を持ってきた奴がいるんで」
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