風俗嬢フウカの「つれづれ日記」
第15章 移籍の理由 後編
移籍するに至った理由その④

―バック(報酬)が割りに合わない―

風俗嬢ですので、他の時給何百円単位の
バイトよりは、はるかに良い時給です。


ですが、高額な報酬とはいえ、
風俗業界の中では、
お店によって
報酬の額は違います。

ピンからキリまであります。



「他店に移ること、考えた方が
いいのかなぁ」
と、おぼろげながら考えつつ、

他店の求人HPをネットでパチパチ
検索すればするほど、
私は確信しました。


「パッションのバック(報酬)って、
やっぱり、安い…」


求人情報って、普通、お店の悪いところは
書きませんよね。

なので、求人HPの
「お給料」等は、鵜呑みにしては
いけません。


「二日体験入店で○万円保証」
「半日で○万円以上可」
等々。

「可」なんて、本当に怪しいです。
パッションの求人HPにも
「○万円以上可」という謳い文句がありますが、


「いやいや、それ、本当に
忙しい年末とかお盆なら、
可能だけど、

それって、年に数回じゃん。
年間の平均お給料を
書くべきでしょ」

と、私自身思います。
まあ、ウソは書いてないですけどね。


なので、一概にHPに書かれていること
を信じるべきではなく、

少し盛っていることを考慮するのが
正しいと思います。


でも、その盛っていることを
考慮しても、

パッションは、
他店から比べると、
決して割に合ったバック(報酬)
ではないです。



私の誹謗中傷が書き連ねてある
掲示板にも、

「ここ(パッション)はバックが
低いらしい、
他店の方が稼げる」
等々書き込まれていました。


というわけで、
これも決め手となり、
私は他店への移籍を
決意しました。


「なんだ、結局は金かよ」


と、ツバを吐かれるかも
しれませんが、
ええ。お金は大事です。


普通のお仕事より高額なお給料を
頂いているとはいえ、


私も遊びではないです。

この仕事は楽しいだけではなく、
体力も使うし、
病気の心配もあるし、
誹謗中傷等、
女の子間でのいざこざ、
精神的にも
色々な思い抱きます。


顔バレのことや、

それから、容姿が
非常に影響するので、
いつまでも続けられる
仕事ではありません。


私も入店当初は
あまり考えませんでしたが、
こうしている一分一秒ごとにも、

肌の色つや、若さは確実に、
失われているわけです。


そうすると、同じ時間で、
時給の高い方に魅力を感じる、

稼げるうちに、沢山稼ぎたい、


というのは、ごく自然な
考え方だと思います。



そして、半分投げやりですが、

所詮もう、風俗という業界に足を
踏み入れちゃったんだから、
いくところまで行ってしまうのも
有りかも。

その方がなあなあ風俗を
続けることなく、
潔く辞められる、
とも思います。


そんなわけで、
「私の風俗寿命、あと何年だろ…」
と考えた時、

このまま、モヤモヤ
うつうつとした状態で、

それなのに、
決して高くない報酬で、
土日を潰して
お店に勤めるよりは、


お給料も見合ったものがもらえ、
かつ、精神的にも
プレッシャーや誹謗中傷に、
キリキリさせられることなく、

穏やかな気持ちで、
仕事ができる方が、
絶対にいい。


そう思い、その他にもいくつか
理由があるのですが、

なんにせよ、「パッション」を辞め、
他店に移ることを、
決意しました。


もちろん、「パッション」を
辞めることに
戸惑いもあります。


最近は女の子同士を
あおるシステムが
顕著になったとはいえ、


気さくな、感じの良い
スタッフさんもいました。
(裏の顔は違うかもしれませんが)


また、何度も繰り返し足を
運んでくださるお客様には、

結局なにも告げることなく、
フウカは「パッション」から
フェードアウト
することになります。


(よく、お客様とメアドを交換して、
前のお店から新しいお店に、
お客さんを連れていく、
という女の子もいるそうです。

で、お店はごっそり
お客さんを取られてしまう、
というパターン。


でも、私は、できません。
お店に不満があって、
辞めるのではあるけれど、
でも、これまで自分もお店に
お世話になったのは事実です。


新しいお店にお客様を
連れて行けば、
指名料となりますが、


でも、裏の顔かもしれませんが、
それでも良くしてくださった
スタッフさん達の顔を
思い浮かべると、
それはできません。


あ、私小心者なので、
逆恨みされるのも、
怖いですので)



なんにせよ、
最近のお店のシステムや、
お給料面、

それらを踏まえて、
自分自身の年齢や
風俗を辞めた
後のことについて考えて

パッションを辞めて、
他店に移ろう、
そう決めた次第となりました。


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