知りたくなかった本当の気持ち
その行動に驚いたのか、焦った若王子は訊く。
「助けて…」
危うく相手を責める言葉を出しそうになるのを押さえ、本音を出した。
「大丈夫だよ。
絶対誰かが来る。
そして俺たちは助かるんだからな」
と、私の丸まっている背中に優しく手を置く彼。
涼しい顔をしてそんなこと言われても、全然納得できない。
「わかってないね。
この事態がどんなに辛いか。
また味わうことになるなんて、地獄だよ」
「………前にもこんなこと、あったのか?」
は? 覚えてないのか。
自分がしたことくらい。
最悪だ。
「触んないで!」
私の背中に触れていた手を、荒ぶって離させた。