私の居場所
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もちろんあれから颯太からの連絡はない。

私は誰にも何も聞けずにいた。

両親を避け、颯太にもこちらから連絡しようとしなかった。

「園美ちゃん、また身体の調子でも悪い?」

悦子さんは身体を気遣ってくれる。

「いいえ、少し食欲が落ちているだけで大丈夫ですよ。」

そう、あれから食べ物がのどを通らない。

家でもお母さんがちゃんと夕飯を用意してくれる。

でもその場に居るのがいたたまれなくて、そこそこ食べると自分の部屋にこもるという毎日を過ごしていた。

もちろんお母さんは心配しているのは分かっている。

でも私が何も聞かないためか、お父さんもお母さんも何も話してくれない。

何がいけなかったんだろう。

外泊した事は、お父さんもお母さんも気にした様子はなかったのに。

でももっともっと気になるのは颯太の事。

本当に何も言わずに、向こうの工場に戻って行ったようだ。
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