私の居場所
「聞いてる?園。」

私は自分の事でいっぱいいっぱいだったみたいだ。

いつの間にか福山さんの話が聞こえてなかったようだ。

「もう一回言うぞ、園。俺はお前に遠慮するのを辞めた。」

「えっ?」

私は驚いた。

遠慮ってどういう事なんだろう。

「園が初めて工場に来た時、その弱々しさに今までは傷つけないように、腫れ物を扱うかのようにして来たけど、もう辞めた。」

呆れた様ような福山さんの言葉。

私の何が福山さんの気にそんなに障ってしまったんだろう。

「まあ、そう言う事だ。だから園も俺に対して遠慮するな。」

それだけ言うと、福山さんは満足そうに言葉を切った。

車を病院の駐車場に止め、病院に入っていく福山さんの後を付いていく。

検診中は男女別々となるため、全く福山さんと顔を合わせる事はなかった。

それが分かっていた福山さん。

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