Nemesis=復讐の女神=



悠里ちゃんが守られるようになってから、女子たちの不満はピークに達していった。



「藤原悠里、ウザすぎっ!」

「青龍の皆に守られてるからって調子のってさぁ…」




その言葉に、私はイラツキを感じた。



みんな悠里ちゃんの事、知らないくせに…。




それに、悠里ちゃんは私の前でも青龍の前でも同じ態度だよ??全然調子になんてのってない。




そう思いながら、わなわなと拳を震わせていたとき。




「結愛もそう思わない?結愛だって青龍の姫なのにさぁ…」



さっきまで悠里ちゃんの陰口を叩いていた女子が、私に話をふってきた。




「そうだよ!前までは結愛が青龍の近くにいたのに、最近は結愛ちゃんじゃん!」




その言葉に、私はグッと胸をつまらせる。




それは、私が思っていたことだったから。
でも、それは仕方のないことだと、心から消した思いだったから。



「それは……そうかもしれないけど!でも、そんなに悠里ちゃんが青龍に守られるのが嫌なら、悠里ちゃんを虐めなければいいじゃん!陰口叩かなければ良いじゃん!」




ハァ…ハァ…と息を荒くしながら言い切った私に、前にいた女子達が一瞬目を大きく見開いたあと、私をギラリと睨みつけると



「何その言い方!うちらは結愛の事おもって言ってあげたのにさ…!」


「あーもういいよ!いこいこ!」




そう言いながら、教室から出て行った。




青龍はみんなモテモテだから、この学校の女の子ほとんどが青龍のことを好きでいる。




だから、悠里ちゃんがひがまれちゃうのも仕方ないことだけど……やっぱ悪口言ったりイジメるのはおかしいと思う!



ひとり、教室で空を見ながらそう思う私はこの時気付かなかった。




「ふふ……私の事庇って嫌われるなんて…バカみたい。」




そう呟く、黒い影に。



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