偏食系男子のススメ【完】
俺の名前とヒロノちゃんの苗字の響きが一緒だから仲良くなって、音楽の趣味が合ったから何度かCDの貸し借りをしたことがあった。何回か電話でやりとりもしたかもしんない。それを藤島がたまたま見たのだと思う。
別にやましいことがあるわけじゃないから、特に隠してるつもりも話しておくつもりもなかったけれど、藤島は不機嫌そうにこっちを睨んできたから、少々狼狽えた。
……だって話したって、興味なさそうに流すだろお前は。むしろ鬱陶しそうにすると思ったし。
だからそんな風に疑われてたことが意外で、不謹慎にもやっぱ嬉しい。
「 ……どういう関係?」
「え? どういう!? って!? いや、ヒロノちゃんとは普通に友達だけど」
「……名前で呼んでるんだ」
「だって、同じ名前だし、イズミさんって呼ぶの、なんか変だろ?」
「……私のことは苗字なのに?」
鼻で笑った藤島に、思い切りキュンとしてしまう。くっそ、なんだその意地らしい表情は。反則だろ! ヤキモチかと期待してしまう。
ていうか名前で呼んだら照れて怒るのはお前だろう。というツッコミはどうでもいい。藤島が可愛いからどうでもいい! もうなんでもいい!
「……ヤキモチ?」
ど直球で聞いてみれば、藤島はその髪に触れていた俺の手を一瞬で振り払い、鳩尾に重い一発を炸裂させた。……痛え。
「ふざっけんな! 誰が誰にだよ! 絶対ないっつーの! あー寒い寒い! キモいこと言うな!」
「……す、すみませ……」
酔っているせいか、加減がない。ここにきて酒効果がまさかの裏目に出てる。
このやろう藤島。思いっきり殴りやがって。とは思うものの、惚れた弱みというやつか本気で怒ることはやはりできない。できるわけない。そういうとこも含めて好きなんだ。