偏食系男子のススメ【完】
いや、そんなことより川端さんは……、……いない。っと。
なんだあいつ。せっかく私が来てあげたのに。生意気。
「藤島?」
「え? うわっ、……あー、翔くん、お久」
「どうした? 珍しい」
背後にはいつの間にか、意外だとでも言わんばかりに私を見詰める翔くんが立っていて、左手を上げて挨拶した。
翔くんに会うのも久しぶりだな。
お互い学校祭の準備で、クラスの仕事に追われてたからか。まあ私は大体サボってたから暇だったんだけども。
「……ていうか翔くん、猫耳としっぽ……と、長靴? ……あ、長靴を履いた猫?」
「女子に無理やり決められた」
自身の頭に装着されている猫耳のカチューシャを指ではじきながら眉を顰めた翔くんは、溜息を吐きながら言う。
うえー、恐ろしく似合うな。
大人しい翔くんにまでこんなコスプレさせるんだ、私このクラスじゃなくてまじでよかった。
つくづくそう思いながら、あれ私なんでここに来たんだっけ、とちょっと悩んでから思い出す。