私の、婚約者?
「もちろんです!すっごく優しいんですよ〜」


いや、いきなりのろけられても困るんですが。



「もうっ村野さんたらそんなに私たちの話聞きたいんですか?えー?恥ずかしいなあっ」


あ、あれ?


「じゃあ…ちょっとだけですよ〜? こほん!まず、私たちの出会いはまだ肌寒い春先のことで「あのっ!」



「なんですか?今から始めるのにー」

「2の2、通り過ぎてますよ?」


…………。

そう、先生が今立っているのは、2年3組の前。
つまり通り過ぎている。

私はなんとなく2組の前で立ち止まっているんだけど…


「え、いや、あのっここ、これは…わざと!わざとなんですよ!?いつあなたが気づくかなあっ?みたいなかんじで!!」


あほだーー


「そうですよね、先生が通り過ぎるなんて…あり得ませんよねっ」
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