オトナの恋を教えてください
「に……荷が重いです!」


こんな時、あっさり拒否ってしまうあたりがゆとり世代なのかもしれない!
でも、無理なものは無理だ。

志辺さんのデータベースは社内的にも重要。
頼りにしている営業さんはいっぱいいる。

それを私に引継ぎ?


「志辺さん、定年までまだあるじゃないですか。そんな急に私に引継ぎなんて」


「うん、そのことなんだけどね。俺、再来月末で、早期退職の予定なんだ」


「ええっ!?」


志辺さんの新たな告白で、私はすっかり狼狽した。
荷が重い話の上に、お父さんみたいな志辺さんがオフィスからいなくなるなんて。

胸に焦りと悲しみが一緒くたにやってくる。

志辺さんは頭をポリポリと掻きながら、何でもないように話し出した。


「女房がね、このまえ乳ガンの手術をしたんだ。手術はうまくいったんだけど、結構気力も体力が落ちちゃってね」
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