オトナの恋を教えてください
いろはに幸せになれる道が用意されているというのなら、その道を歩いて過たず幸せになってほしい。

そのためには、もう少し自分を主張してほしい。

……いつかの俺みたいには……なってほしくない。



まるで、家族にでもなった気分だ。

そこまで考えて、ふと思い至る。


……そうか、いろはの唯一の家族は、いろはが自分で考え主張することを望まなかったのだ。

ひとりで生きていける力は不要だと判断して、彼女の精神的自立を妨げたのだ。


「それなら、俺がその役割をしてやるよ」


口の中で噛み潰すように呟く。
誰も聴いていないとはいえ、公共の場でひとりごとは恥ずかしい。でも決意にはちょうど良かった。

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