オトナの恋を教えてください






夜は更けていた。
暗い部屋には窓から届く外の明かりだけ。


「今から四年前の話な。俺は新人で、営業五課にいた」


「紡績関係でしたね、五課は」


俺といろはは並んでベッドに転がっていた。
シングルベッドなので、肩を寄せ合ってだけど。

大事な話とはいえ、顔をつき合わせてより、並んで天井を眺めていた方がしやすかった。


「ちょうど夏だったな。同期の女子に告白されたんだよ。――――あんまり気分のいい話じゃないから、そいつはA子ってさせてもらうな」


俺は当時のことを思い出す。
何度思い出しても、苦い気分にしかならないので、普段は記憶の底に封じ込めておくものだ。
それを今、いろはに告白する。


< 233 / 317 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop