オトナの恋を教えてください
再び怒鳴ってから泣きだしたいろはは、憤りを全部力にしている様子。
腕がぷるぷる震えて、白く筋まで浮いちゃって。
なのに、俺はほとんど動いていない。

よもぎがなおも心配そうに俺たちの周りをくるくる回る。


最初から最後まで、バカだ、いろは。
相変わらず無茶な思考回路をしている。


でも、出会った頃とは大きく違う。

いろははひとりの女になって、俺はそんな彼女に惚れてしまった。



俺はいろはの腕をつかみ、胸から簡単に引き剥がした。

驚くいろはの動きを封じ、そのままキスを返す。

いろはがしてきた乱暴なヤツじゃない。
たっぷりと時間と愛をかけた甘ったるいキスを。

唇が離れると、いろはの顔の赤さの意味が違っていた。
弾む吐息が、キスの結果を教えてくれる。


「か……しわぎさん……」


「俺が本社に戻ってくるの、何年先だと思う?」


俺はいろはを見下ろして言った。
互いの吐息がかかるくらい近くで。
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