オトナの恋を教えてください
「だから、俺はいろはを縛らない。それについては撤回しない。俺は待てる。だけど、初めての恋が遠距離じゃつらいのはいろはだ。……俺は彼女としていろはを置いていけない」


「はい……」


「でも、いろはの願いは叶える。それは俺の願いでもあるから。
好きだ、いろは。この先もずっと、俺はおまえだけが好きだ」


そう言って俺はいろはを抱き上げた。
軽い身体を寝室に運び、ベッドに横たえた。

キスを交わし、腕を巻きつけ、この瞬間だけは離れまいと抱き合う。


「待ちません。私、柏木さんのことなんて待ちませんから……」


いろはは泣き笑いの顔で言った。


「そんなに重い女じゃないです。軽いんです。吹けば飛ぶような紙っぺら女なんです」


「いーから、黙れ。集中しろ」


俺は言い訳するいろはの唇を塞ぐ。
甘やかな吐息を混ぜ合わせ、愛しく触れ合い、俺たちは一夜を過ごした。

世界で一番大事な女を、たった一度独占できた夜だった。




翌日、俺は猫のよもぎと東京を発った。







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