オトナの恋を教えてください
「誘惑するつもりでした。私とエッチしたければ、覚悟を決めて婚約するしかないんだぞ~。そうしないと、いつまでも通ってきちゃうぞ~って」


「いろは、怖い子!それ、誘惑っていうか脅し!」


柏木さんが悲鳴じみた声で言い、私は楽しくてしょうがなくなる。

私の大好きな人。
柏木一さん。

世慣れてるタラシかと思いきや、お人好しの女嫌い。
いつからか、ものすごく惹かれていた。

あの時、私があなたに声をかけていなかったら、今の未来は存在しないんだ。

『抱いてください』なんて、あなたはすごく変な顔で私を見たけど、ねえ、結果オーライに思えませんか?


柏木さんが私を変えた。
幼い心を育ててくれた。
母への依存を断ち切るチャンスをくれた。

今度は柏木さんの隣を自分の足で歩きたい。
並んでどこまでも一緒に、美しく光る日々を抱き締めながら。

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