オトナの恋を教えてください
私は高鳴る胸を押さえ、頬を緩め微笑む。

そこで、ふと思う。


ねえ、でも待って。
なんか、私浮かれすぎじゃないかな。


柏木さんはあくまで計画の協力者。
私の依頼に付き合ってくれているに過ぎない。

私の抱く『デート、嬉しい!』なんて感情は覚えちゃいけないものじゃない?


どうせ、この時間が終わったら、私たちは無関係に戻るんだもん。
私が会社を辞めたら、接点すらゼロだ。

ダメダメ、気を引き締めて。
柏木さんが優しくしてくれるからって、のぼせ上がっちゃ駄目だぞ。



たっぷり2時間後、待ち合わせの時刻に私は新宿駅の東口に戻った。

遠目で見てもすぐわかる。

少しくすんだブラウンの髪、整った精悍な顔立ち。
夏物の半袖テーラードジャケットにボーダーのインナー。シティなのにマリン。

似合っちゃってます、似合っちゃってますよ、旦那。

あー、かっこいいよう、柏木さん。

こうして垣間見状態だと、際限なくうっとり見つめてしまう。
このままずっと見ていたい……けど、それじゃデートにならない。
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