この列車は恋人駅行きです。



「もう大学の時からいないんじゃないの?夏純」


「えぇ!?大学の時から彼氏いないんですか~!?」


「ちょっと華ちゃん!声が大きいから……!」



慌てて華ちゃんの口を塞いでも、周りには聞こえていた。



他の社員がコソコソ話しながら私の方を見てくる。



あぁ、私のイメージが落ちていく……



「その彼氏と別れた後に泥酔して、その酔った勢いで大学の先輩とホテル行ってたよね」


「え、その話初耳ですけど!?」


「小彩、その口縫われたいわけ……?」



どんどん私の黒歴史が小彩によって暴かれていく。



高校からの腐れ縁ほど嫌なものはないな。



「と、とにかく!私は男よりも今は仕事だから!
いなくたっていいの!」


「センパイそれ一生結婚できないフラグですよ~」



意地を張って言ったことが華ちゃんによって釘を刺され、周りから笑い声が聞こえてきた。



傷ついた私を庇うように課長がお前ら仕事しろと社員の気持ちを切り替えさせてくれたけど、それが何だか余計傷ついた。



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