この列車は恋人駅行きです。



私の一言に小彩は顔を上げて、つまらなさそうな顔をした。



そんな顔しなくたっていいじゃない。



無理なものは無理なんだから。



「えぇー!センパイ年下無理なんですか~!?
あんなに年下に好かれてるのに~!」



どこから聞いてたのかいきなり後輩の華ちゃんが割り込んできた。



華ちゃんはこういった恋愛話やイケメン話に目敏い。



確かに年下の後輩に"姉さん"とか呼ばれるけど。



「なんか年下って頼りないっていうかさー、私は引っ張ってくれる頼もしい年上がいいの。

華ちゃんの彼氏だって年上じゃない」



そう言えば華ちゃんは「そうですけど~」と腑に落ちないながらも、何も言い返せないでいる。



「…こんなだからあんたは25になっても彼氏できないのよ」


「彼氏いない小彩に言われたくないわ」



小彩だって最近別れてフリーになったくせに。



「小彩センパイは最近までいたんですよ!?
それに比べて夏純(かすみ)センパイはずーっといないじゃないですか~!」



華ちゃんに倍返しされて何も言えない。



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