そして私たちは大人になる


「唯依〜、今日帰れる?」

随分とまた、間延びした声で私を呼ぶのは
よっちゃんしかいない。

「おっ、噂をすれば吉川じゃーん」

「えっ、何?なんの噂?」

「あんたが一番わかってるでしょー、ねっ、唯依?」

「真奈…」

私は、飽きれながらケースを音楽準備室に運んだ。

二人が楽しそうに話している声を背中で聞いた。

< 9 / 56 >

この作品をシェア

pagetop