今から、絶対にバレない嘘をつきます




私の言葉に、ハルは立ち止まった。


すぐに駆け寄れる、その距離にいるハルの、その背中を見つめて、私はもう一度、ハルに告白をする。





『ハルが好き』





その言葉に、ハルはユックリ振り返って。


そして、私のところまで、ユックリと足を進めてきた。








『なんだよそれ…
 お前さ、分かってて言ってんの?』



ハルはそう困ったような顔をしながら言うから。







『ハルの気持ち?』



そう、ハルに質問を返す。







『俺、お前のこと、もう絶対に離せないよ?
 お前が俺を嫌いになっても』



言葉はかっこいいのに、ハルの顔は今にも泣き出しそうな顔をしていて。





だからかな、ハルに嘘をつきたくなった。




『いいよ?
 ハルを嫌いになったら、勝手にハルから離れるから』






そんな訳がない。



ハルは私の答えに、クスって笑った。





『やれるもんならやってみ?』




ハルはそう言って笑った、私もハルの顔を見て、一緒に笑った。






多分、ハルを嫌いになんかなれない。



この数カ月、誰を傷つけても、誰を泣かせても、それでも私はハルのことが好き、だったから。



きっと、この気持ちは、ハルを想う、この気持ちだけは、絶対に消えたりなんかしない。



そう、自信を持って、ハルに言える。








『ごめん…。
 多分、無理、ハルから離れるのは私が無理だからー…』



私の言葉に、ハルは面食らった顔をして、そして困ったように微笑んだ。






『てか、離れないでもらえると助かります』



ハルはそう言って、私のことを抱きしめてくれた。







『夏美のこと、すっげー好きだから、これからはちゃんと彼女、として、大事にするから、ずっと俺の傍にいて』


耳元で聞こえる、彼のその声はとても優しくて、とても愛おしい声だった。





『うん……ありがとう、ハル』




そう、私たちは、その場で抱きしめあった。














END









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